遺言書に関する基礎知識

遺言書とは

遺言書とは、人が、自分の身分上および財産上のことについて、自分の死後に効力を発生させることを目的として書き残した文書のことであり、「遺言書」または「遺言状」と呼ばれています。
遺言書には、民法によって方式が厳格に定められています。

 

相続は、比較的トラブルとなりがちです。
喧嘩一つしたことのない兄弟が骨肉の争いになってしまうこともありますから、とても悲しいことです。
そのため、揶揄して、「争族」とも読み替えられたりします。
では、どうして「争族」は起こるのでしょうか?

私が思うには、大きな理由は以下の2つではないかと考えております。


(1)故人の意思が見えない

1 故人の意思が見えない


一緒に住んでいた家族も、別々に暮らすようになり、生活基盤が形成されます。
当然、物理的にも精神的にも距離が生まれます。
よく兄弟でこんな言い合いになります。
 「○○は自宅の頭金を出してもらっただろう。それで充分だと父さんはいうよ」
 「○○は一緒に住んでいて毎月援助してもらってただろう。特別扱いされてたじゃないか」
みんな、結局のところ、故人の意思を推測し、その意思を尊重しようとする訳ですが、故人の意思が見えないため、解釈に食い違いが生まれ、争いが生まれる訳です。

亡くなった故人の意思が明確にされ、各相続人に配慮された形で説明されていれば、何にも代え難い「説得力」となり、紛争が生じることは滅多に無いのです。

(2)当事者以外の利害関係が発生する

2 当事者以外の利害関係が発生する


どんなに仲のいい兄弟でも、それぞれの仕事や家族が形成され、財産など、守るべきものが築かれます。
そうなると、その兄弟当事者だけの話では済まなくなります。
当事者の配偶者や子供らにも無関係な問題ではありません。
自分の家族のため、当事者も、その家族も、しっかり権利主張すべきはしていかざるを得なくなる訳です。

 「どうしてあなたばかり、いつもお兄さんに遠慮する必要があるの?」
 「おじいちゃんの看病、うちのママだけがやってたんだよ」
 「そうだな。おまえ達のためにも、言うべき事はしっかり言うよ」

などなど

結局、当事者だけの話では無くなる訳です。

 「まだ早い」「縁起でもない」


…そう思っていらっしゃる方も多いかも知れません。

しかし、人間の死はいつやってくるか、こればかりは誰にも分かりません。


欧米では、生前に、エンディングプランという形の「遺言書」を作成しておくことが一般的ですし、日本でも、江戸時代頃には「遺言」を残しておくことが一般的な慣行だったのです。

 

 

特に必要性の高い事案の例

  • 独身で子どももなく、親か兄弟姉妹が相続人になる場合
  • 結婚しているが夫婦の間に子供がいなくて兄弟がいる場合
  • 離婚をして、先妻・先夫や後妻・後夫との間に子がいる場合
  • 事実上、離婚状態・離縁状態の者がいる場合
  • 内縁(事実婚)や同性婚の場合
  • 子供が先になくなり、代襲相続人がいる場合
  • 相続人に行方不明者や海外居住者がいる場合
  • 個人事業主や同族会社で会社を存続させたい場合
  • 住んでいる家と土地しかない場合
  • 特に援助したい子供がいる場合
  • 相続権のない孫や嫁、兄弟姉妹に財産を与えたい場合、
  • 世話になった、財産を残したい人がいる場合
  • 公共自治体や財産法人、お寺や寺院などへ寄付をしたい場合
  • 相続人が誰もいない場合
  • 未認知の子がいる場合
  • 財産を渡したくない相続人がいる場合

遺言に関する基礎知識

当事務所では、正式に書類作成を依頼されるまで、相談料は頂いておりません。
また、相談はすべて、国家資格者である行政書士が対応します。
行政書士には、守秘義務が課せられている為、お客様の秘密は守られます。
ただし、原則として、取扱地域は東京都内に限らせて頂きます。

 

人の死は誰にでもいつか必ずやって来ます。
相続は、死亡と同時に開始します。
まだまだ先だと思っていても、いつどのように突発的な事情が生じるかは、誰にも分かりません。
身体や判断能力が衰えて、思うように遺言書の作成ができなくなる前に、早めの対応をされた方が安心です。
また、後々で、遺言書の存在自体が争いの火種とならないよう、専門家へ相談されることをお勧めします。


統計データ

平成29年版高齢社会白書によりますと、現在、日本国内にいる65歳以上の方は3,459万人となり、総人口に占める割合(比率)が27.3%に達しました。

また、公証役場における遺言公正証書の作成件数や、家庭裁判所における遺言書検認の手続き件数は、年々増加傾向にあります。

遺言書の件数の推移

公証役場で作成される「遺言公正証書」および、家庭裁判所で検認手続きを受ける「自筆遺言書」の件数の推移は、以下のとおりです。

 

遺言公正証書の作成件数 家庭裁判所の検認件数
平成7年 46,301件 8,065件
平成8年 49,438件 8,175件
平成9年 52,433件 8,885件
平成10年 54,973件 8,825件
平成11年 57,710件 9,818件
平成12年 61,255件 10,251件
平成13年 63,804件 10,271件
平成14年 64,007件 10,503件
平成15年 64,376件 11,364件
平成16年 66,592件 11,662件
平成17年 69,831件 12,347件
平成18年 72,235件 12,595件
平成19年 74,160件 13,309件
平成20年 76,436件 13,632件
平成21年 77,878件 13,963件
平成22年 81,984件 14,996件
平成23年 78,754件 15,113件
平成24年 88,156件 16,014件
平成25年 96,020件 16,708件
平成26年 104,490件 16,843件
平成27年 110,778件 16,888件
平成28年 105,350件 17,205件
平成29年 110,191件 17,394件
平成30年 110,471件 17,487件
令和元年 113,137件 18,625件
令和2年 97,700件 ------件

 

※遺言公正証書の作成件数は、日本公証人連合会の公表データに基づいております。
※家庭裁判所の検認件数は、最高裁判所の司法統計に基づいております。

 


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