遺言書がない場合、遺産分割協議により、一つ一つの財産について、誰にどのように分配するか、相続人全員で協議し、意見を一致させなければなりません。
そして、もしも相続人の中に未成年者がいる場合、遺産分割協議に際して、家庭裁判所に、特別代理人の選任をしてもらわなければならないのです。
まして、どんなに仲の良い兄弟や親子であったとしても、その相続人の配偶者や子ども等が遺産分割協議に介入してくる場合もあれば、相続人自身が自分の家族からの期待やプレッシャーにより、権利主張することも、決して珍しいことではありません。
もしも話がこじれて、調停や裁判に発展した場合には、多大な時間や出費の損失と労力的、精神的な負担を強いられることになり、心労が絶えませんし、一度壊れてしまった人間関係は、もはや回復することが不可能になる危険も高くなります。
遺言書がない場合、最初に財産を調査して遺産目録を作成する必要があります。
そして次に、被相続人の出生から死亡するまでの戸籍謄本等一式を取得して相続人の調査確定をすることになります。
その後、相続人全員の戸籍謄本等もすべて揃えなけれ鳴りません。
預金の解約、保険金の払い戻し、不動産や自動車の名義変更、等の手続きにおいては、個々に相続人全員の署名と実印、印鑑証明書などが必要になります。
この煩雑な手続きを誰が行うのかという人選でもめたり難航する場合もありますし、その面倒な手間で大変な苦労をしたり、手違いによるトラブルが生じるリスクも高くなります。
遺言書があることで、このような煩雑な手続きを最小限に抑え、スムーズに進めることが出来るのです。
遺言であれば、自分の思い通りに遺産の分配を指定することが出来ます。
相続人以外の内縁の妻や息子のお嫁さん、お孫さん、ペット、その他のお世話になった人や法人、団体に対しては、遺言書が無ければ、財産を分配してあげることが出来ませんし、遺産を与えたくない相続人がいる場合、廃除することも出来ます。
その他、遺言執行者や祭祀承継者の指定、認知等の身分行為や寄付行為、等も行うことが出来るのです。